在宅クリニックの事務室に立つと、まず目に入るのは紙です。病院、薬局、施設からの連絡は、いまもFAXが多い。チャットを入れても、加算の届出を出しても、届いた紙を誰が読むかは、別の仕事として残ります。
この稿は、おひさま会が現場で見てきた「在宅医療のFAX仕分け」の話です。製品の説明ではなく、なぜ人手のまま残りやすいかと、どこから手をつけたかです。
「在宅医療DX」と検索すると、先に出てくるのは診療報酬の加算です。オンライン資格確認や電子処方箋など、国が定める体制の話です。届出と点数は、国の資料と自院の請求担当が正本です。
ただし、加算の体制が整っても、毎日のFAX仕分けは自動では消えません。資格確認の準備と、紙の山を減らす仕事は、別の作業です。この違いは、在宅医療DXの2つの意味に整理しています。
おひさま会では、5つのクリニックで月におよそ5,000枚のFAXや郵送物を受け取ります。手作業のころは、1枚あたりおおよそ次の順でした。
1枚に3〜5分かかると、単純計算で月に数百時間です。数字の出し方は拠点の枚数で変わります。大切なのは「忙しい」ではなく、同じ判断を、毎日くり返していることです。
| 人がやっている判断 | なぜ残りやすいか |
|---|---|
| 宛先は誰か | 氏名の表記ゆれ、同姓同名、拠点の違い |
| 何の書類か | 検査、薬、施設連絡が同じ紙に混ざる |
| 何人分か | 一覧表のように、1枚に複数の患者が並ぶ |
| 今すぐカルテへ入れるか | 読めない文字、自信の低い判定は人が見る |
おひさま会では、届いた紙をすべて人が読んでから載せるわけではありません。仕組みが「誰の・何の書類か」を下ごしらえし、確信度が低いものは要確認として人に回す。自信が高いものは仕組みが先に進めることもありますが、止める道は残します。
医療の判断にはAIを入れません。仕分けは事務の下ごしらえです。この線引きは、安全の3原則に書いてあります。
チャットが入ったことと、FAXの山が減ることは別です。道具の導入と、仕事が回る設計は、分けて考える必要があります。
他院と同じ結果になる保証はありません。まず自院の1週間を、次の問いで見てください。
枚数の多い院から始める必要はありません。判断が単純で、毎日繰り返すものからで十分です。順番の書き方は、失敗しない自動化の手順書にあります。