実践ノート — 在宅医療のFAX仕分け

在宅医療のFAX仕分けは、
なぜ人手のまま残るのか

2026年8月|医療法人おひさま会 DX推進部

在宅クリニックの事務室に立つと、まず目に入るのは紙です。病院、薬局、施設からの連絡は、いまもFAXが多い。チャットを入れても、加算の届出を出しても、届いた紙を誰が読むかは、別の仕事として残ります。

この稿は、おひさま会が現場で見てきた「在宅医療のFAX仕分け」の話です。製品の説明ではなく、なぜ人手のまま残りやすいかと、どこから手をつけたかです。

加算ができても、FAXの山は残る

「在宅医療DX」と検索すると、先に出てくるのは診療報酬の加算です。オンライン資格確認や電子処方箋など、国が定める体制の話です。届出と点数は、国の資料と自院の請求担当が正本です。

ただし、加算の体制が整っても、毎日のFAX仕分けは自動では消えません。資格確認の準備と、紙の山を減らす仕事は、別の作業です。この違いは、在宅医療DXの2つの意味に整理しています。

1枚のFAXで、人がやっていること

おひさま会では、5つのクリニックで月におよそ5,000枚のFAXや郵送物を受け取ります。手作業のころは、1枚あたりおおよそ次の順でした。

  1. どの患者さん宛かを調べる
  2. 書類の種類を判断する
  3. 電子カルテへ登録する

1枚に3〜5分かかると、単純計算で月に数百時間です。数字の出し方は拠点の枚数で変わります。大切なのは「忙しい」ではなく、同じ判断を、毎日くり返していることです。

人がやっている判断なぜ残りやすいか
宛先は誰か氏名の表記ゆれ、同姓同名、拠点の違い
何の書類か検査、薬、施設連絡が同じ紙に混ざる
何人分か一覧表のように、1枚に複数の患者が並ぶ
今すぐカルテへ入れるか読めない文字、自信の低い判定は人が見る
いちばん危ないのは、急ぎの日です。枚数が多い日ほど、見落としと取り違えが起きやすくなります。仕組みの目的は速さだけではなく、人が全部を最初から読まなくて済むことです。

迷うものは、カルテへ入れない

おひさま会では、届いた紙をすべて人が読んでから載せるわけではありません。仕組みが「誰の・何の書類か」を下ごしらえし、確信度が低いものは要確認として人に回す。自信が高いものは仕組みが先に進めることもありますが、止める道は残します。

医療の判断にはAIを入れません。仕分けは事務の下ごしらえです。この線引きは、安全の3原則に書いてあります。

現場で守っている順

  1. 医療判断から遠く、毎日積もるものから — FAX仕分け、問合せの整理、定期書類の下ごしらえ
  2. 迷うものは人が見る。完成は人が押す — 事務の貼付と、医療書類の確定は別
  3. 既存の電子カルテは捨てない — 紙の入口だけを整える
チャットが入ったことと、FAXの山が減ることは別です。道具の導入と、仕事が回る設計は、分けて考える必要があります。

自院で見るときの問い

他院と同じ結果になる保証はありません。まず自院の1週間を、次の問いで見てください。

枚数の多い院から始める必要はありません。判断が単純で、毎日繰り返すものからで十分です。順番の書き方は、失敗しない自動化の手順書にあります。

おひさま会が現場で動かしている仕分けの実例は、OhiScanにあります。この稿は「なぜ残るか」。実例はそちらです。

自院のFAX仕分けから話したい方へ

枚数や書類の種類が分かれば、見学と対話のどちらがよいか一緒に考えます。

相談する OhiScanを見る